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ビタミンAの副作用|妊婦の場合

前ページ、過剰摂取による副作用の続きです。

過剰摂取は赤ちゃんに影響

妊婦が、ビタミンAを過剰摂取すると、お腹の赤ちゃんに副作用が起きて、体の一部が奇形になるリスクが高くなります。

具体的に過剰摂取とは、数カ月以上継続して、動物性食品に含まれるビタミンA(レチノール)を、大量に摂取することです。

妊婦であっても、ごくまれに、あるいは月に1〜2回の過剰摂取であれば、赤ちゃんへの副作用は、ほとんどないと言われています。

前ページでも紹介しましたが、ビタミンAは大別してβカロテンとレチノールがあります。βカロテンは、緑黄色野菜に含まれ、野菜を毎日飽きるほど食べても、副作用の心配は、ほとんどありません。

しかし、レバーやうなぎの蒲焼き、あん肝などに含まれるレチノールは、体内に蓄積されやすく、副作用の可能性が高くなります。

例えば、ある研究機関の調査では、2カ月以上毎日5000μg(マイクログラム)RE以上のビタミンAを摂取した妊婦は、一般の妊婦に比べ、赤ちゃんの奇形の割合が、約3.5倍になることが確かめられています。(ちょっと極端な例ですが)

また、海外の機関では、妊婦の1日の摂取量が3000μgREを超えると、副作用のリスクが高くなるという報告もあります。

実際、厚生労働省によるビタミンAの摂取基準は、妊婦の場合で、1日あたり670μgRE(推奨量)で、副作用の心配がない上限量は、3000μgREになっています。

もちろん、妊婦であってもビタミンAは必須の栄養素で、赤ちゃんへの副作用を気にするあまり、ビタミンAが不足すると、逆効果になります。

詳しくは、ビタミンAを多く含む食品・食材摂取量をご覧ください。

なお、妊婦の人は鉄分が不足して貧血になるケースが多く、鉄分が多く含まれるレバーなどを、食べることもあるかと思います。(レバーはレチノールが多い)

もし、赤ちゃんへの影響が気になるときは、βカロテンが多い緑黄色野菜を中心にした食事にしたり、鉄分のサプリメントを上手に利用すれば、副作用を避けることができます。

また、かかりつけの医師や、産婦人科の専門医に相談するのも、よい方法です。

悪影響の例

ビタミンAの過剰摂取の副作用で起こる病気には、以下のものがあります。いずれも、妊婦の赤ちゃんの奇形に関わる病気です。

水頭症

ビタミンAの副作用で、本来、脊髄(せきずい)にあるべき脊髄液が、脳内に貯まる病気です。

水頭症を発病すると、脊髄液の影響で普通より頭が大きくなります。具体的な症状は、頭痛、嘔吐、失禁、意識障害、運動障害、知能低下などがあります。

口蓋裂(こうがいれつ)

口蓋(上あご)が避けた状態で、赤ちゃんが生まれる病気です。約10週前後の妊婦の時に、赤ちゃんの左右の上あごが成長し始め、顔の正面で一体となって正常な上あごになります。

しかし、ビタミンAの過剰摂取の副作用や、その他の原因で上あごが一体にならないと、上あごが裂けたままの状態になります。

小耳症

生まれたときに、普通の赤ちゃんよりも耳が、小さい状態で生まれるのが小耳症です。一般的に男子の方が多く、女子の症例は少ないようです。

小耳症の発症率は、だいたい1万人に1人と言われていますが、妊婦の摂取したビタミンAの副作用によって、発症率が高くなります。

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